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  赤ぱぷりかの『そうだ、ハカセになろう』

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1年以上
古代日本ではことばには魂が宿ると信じられていました。それが言霊。
そういえば、新約聖書の使徒行伝にある聖霊降臨で、降りてきた聖霊は舌の形をしていたのでした。
舌=langue(ラング)=言葉。
何も調べていないけれど、やっぱり言葉には魂が宿ると、わたしも思っているのです。
ほらだって、人に呪いをかけるのも言葉だし、神に祈るのも言葉。
もっと身近なところでは、自転車にぶつけられたって「ごめんなさい」って言われたら、
痛いのに怒鳴り散らす気にはならなくなる。
これを言葉の魔法と言わずになんという!

翻訳、とくに文芸作品の翻訳は、テキストに込められたこの魂をどう別の言語環境に移すか、という問題だったりするのですが、そういえばこのごろ、この魂のない言葉を操る若者に多く出会って、びっくりさせられています。

彼らの特徴として、饒舌で、語彙、とくに漢語の語彙が無駄に豊富。
そしてとても立派なことをつらつらと書いたり言ったりする。
けれどその文章を読んでいて、あるいは話していて、心に響くものがない。

たとえばフランスで、ヴェルサイユを訪れて圧倒されるのは、もちろんその絢爛豪華さと規模の大きさはあるけれど、その裏に脈々と受け継がれてきた歴史がしっかりと染み込んでいるからで、もしあれが見た目の派手さだけを真似て作り直したハリボテだったら、きっと誰も見に行ったりしない。
そして言葉を巧みに操るソノ手の若者たちの言葉は、このハリボテのヴェルサイユを前にしたらきっとこんな気持ちになるに違いない、という気持ちに私をさせるのです。

心に響かない言葉、それは言霊の宿っていない言葉。
コミュニケーション偏重の世の中の流れの中で、言葉はツールといわれるようになってきました。
「外国語を習得しても、外国語はあくまでツールであって、話す内容がないとね」
話す内容がないと、ではなく、話す心がないとね、と訂正したい。
そして、外国語習得でいちばん難しいのは、自分の魂をどうやって外国語にのせるか、ということ。
型の決まったビジネス文書や、科学的な論文などは、基礎的な語学を習得してしまえば実はさほど難しくない。
それよりも、自分を自分たらしめている魂、平たく言えば自分の「キャラ」をどうやって外国語で表すか、これがいちばんの鬼門だと思うのです。

言葉はツールなんかじゃない。
言葉は人そのもの。

でもそれは、外国語だけの問題ではなく、母国語でも同じこと。
いくら美辞麗句をならべて滑りがよくても、魂のない言葉ではあまりに悲しい。
幽霊も出ちゃったり、呪われた部屋もあったりするけど、
わたしはやっぱり本当のお城のほうが好きだなあと、思うのでした。


コメント

  赤ぱぷりかの『そうだ、ハカセになろう』

作者:マダムぱぷりか

  赤ぱぷりかの『そうだ、ハカセになろう』

2010年 やっと人並みの人生諦められました記念
マダムぱぷりか パリでの超我流人生謳歌の記録          ~フランスに留学する人を応援しています♪~

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